公認会計士と税理士を資格試験や業務などの違いで解説

公認会計士と税理士を資格試験や業務などの違いで解説

公認会計士と税理士は、会計関連の国家資格に興味がある方なら一度は迷ったことがあるでしょう。

両方とも高度な専門知識とスキルを要する資格で、様々な業界で活躍しています。

今回は、両方の資格で迷っている方が、少しでも選べるきっかけとなれるよう、

  • 試験制度
  • 実務経験
  • 業務内容
  • 年収

の4つのポイントで公認会計士と税理士の違いを比較しています。

公認会計士または税理士を目指すきっかけになれば幸いです。

公認会計士と税理士の資格試験制度を比較

公認会計士と税理士の資格試験制度を比較

公認会計士と税理士は、試験制度が大きく違うため、確保できる勉強時間や相性によって選ぶことが合格への近道です。

それでは、それぞれの試験制度を確認していきましょう。

短期合格を目指すなら公認会計士がおすすめ

公認会計士試験は短答式と論文式の2段階試験を実施。

下記のような特徴があります。

項目 短答式 論文式
方式 マーク 記述
実施日 第Ⅰ回:12月頃、第II回:5月頃 8月頃
科目 企業法、管理会計、監査論、財務会計 企業法、会計学、監査論、租税法、選択1科目
免除制度 合格後、2年間猶予期間あり 科目合格制度あり(2年間)

公認会計士試験の場合、短答式が年2回、論文式が年1回実施され、短答式合格者のみが論文試験を受験できます。

免除制度もあり、短答式合格後は2年間試験免除となるため、論文式の対策に集中可能です。

また、論文式試験でも科目合格制度があり、旧試験制度と比較して最終合格を実現しやすくなっています。

ただし、社会人にとっては試験科目が多く出題範囲も広いため、勉強時間の確保が難しく合格難易度は上がります。

一方で、勉強時間を確保できる大学生や専念組にとっては、一発合格が目指しやすいのでおすすめです。

確実に合格していくなら税理士がおすすめ

税理士試験は、記述試験のみ年1回実施。

  • 1科目から受験可能
  • 科目合格免除は無期限
  • 必須科目と選択科目の合計5科目合格で資格取得

税理士の場合、公認会計士試験との大きな違いは1科目から受験できることと、合格すれば免除は無期限。

したがって、毎年1科目ずつ合格を目指せるため、仕事との両立もしやすいのが特徴。

必須科目(会計) 全科目必須 簿記論、財務諸表論
必須科目(税法) 1科目または2科目選択可能 法人税法、所得税法
選択科目(税法) いずれか選択 相続税法、消費税法、酒税法、固定資産税、国税徴収法、住民税、事業税

11科目の構成は上記となっており、会計科目必須ですが、法人税法または所得税のどちらかを選択すれば、後は2科目選択可能です。

科目が恒久的に免除となる税理士試験は、着実に合格を積み重ねていきたい方におすすめ。

ちなみに、税理士試験では一発合格者は誕生しておらず、最短で2年合格となります。

登録に必要不可欠!実務経験はどっちが積みやすい?

公認会計士と税理士の実務経験の違い

公認会計士も税理士も筆記試験に合格しただけでは登録ができず、実務経験をクリアする必要があります。

なお、実務経験は細かく規定されているので、詳しくは公認会計士なら金融庁、税理士なら国税庁に問い合わせて確認しましょう。

税理士のほうが実務経験の条件は緩い

公認会計士の場合は、監査業務の経験が2年以上必要になるため、試験合格後は監査法人に就職する必要があります。

したがって、監査法人に就職できない場合は基本的に実務経験をクリアすることが困難になってしまいます。

一般企業や銀行・保険会社でも実務要件を満たすことが可能ですが、資本金5億円以上や特定の部署に限定されるため、多くの合格者は監査法人へ就職します。

一方税理士の場合は、会計事務所などの税務業務や会計業務、決算手続きや財務諸表作成に関連する事務と要件は広範囲にわたっています。

したがって、一般企業の経理でも実務要件を満たしていることが多いようです。

また、個人の会計事務所でも実務経験につながるため、監査法人に就職する必要がある公認会計士と比較すると、税理士の実務経験のハードルは低いと言えます。

日々の業務の違い

ここでは公認会計士と税理士の業務内容について比較していきましょう。

会計監査がしたいなら公認会計士一択

会計監査業務は公認会計士の独占業務。

したがって、企業等が作成した財務諸表等に誤りがないか検査・評価する業務を行いたいなら公認会計士を目指すことになります。

税務業務・記帳代行は公認会計士でもできる

税理士の独占業務は税務代理・相談などが独占業務となります。

しかし、公認会計士は税理士に無試験で登録することも可能。

したがって、公認会計士になれば、税理士としても登録しておけば、どちらの独占業務も従事することができるというわけです。

年収は?

年収は?

公認会計士と税理士の場合、監査以外の業務は横断していることが多く、会計士は税理士としても活動できるため、平均年収は一緒にまとめられていることが多いです。

実際、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、税理士・公認会計士と一緒にされており、2020年度の平均年収は約958万円。

公認会計士の場合、監査法人で7年目で目指せるマネージャークラスになれば、平均年収1000万円も可能で、30歳前後で到達することも不可能ではありません。

いっぽう、税理士の場合も大手税理士法人に勤務できれば30代後半から平均年収1000万円が実現可能。

ともに高い年収を得ることができる資格だと言えます。

さらに、両者とも経験を積んでコンサルティング会社や役員、並びに独立開業を実現すれば、それ以上の年収を得ることもできます。

【まとめ】公認会計士と税理士はどっちが良い?

今回は、公認会計士と税理士を試験制度から、合格後の業務内容や年収まで幅広く解説してきました。

最終的にどちらの資格がおすすめかは、個人の環境や性格によって異なってきますが、ポイントは下記のようにまとめられます。

  • 一発合格で資格取得の期間を短縮したい → 公認会計士
  • 仕事や学業との両立が必要 → 税理士
  • どちらの独占業務にも興味がある → 公認会計士

いずれにせよ、試験に合格しないと始まらないので合格を実現できそうなほうを選ぶことは重要です。